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拝啓、お父さん、お爺ちゃん、お婆ちゃん。それから、会った事もないお母さん。元気ですか?私は元気です。
この度、私タミは白ひげ海賊団の人達に家族として迎え入れてもらう事が出来ました。なので、今日は私の自慢の家族を紹介したいと思います。

まずは、私をこの船に乗せてくれるきっかけを作ってくれたサッチさん。

「という事で、何かコメントください」
「いや、訳分かんねぇから。何してんだ?」

羊皮紙とペンを手にして甲板にやって来た私にサッチさんが首を傾げる。数人の船員達とカードで遊んでいた隊長に島にいる家族にこの船の皆を紹介する手紙を書いてるんだと言えば、「よし、任せろ!」なんて胸を張って笑った。

「そういうのは正確に書かなきゃなんねぇもんだ。つまり! 『四番隊隊長はカッコ良くて強くて優しい上に、料理が上手い最高の男です』って書くべきだ」
「サッチ隊長、『女好きでチャラい』って部分が抜けてんぞー」
「『隊長の中で一番立場が弱い』ってのも抜けてるな」
「確かに!」
「『しょっちゅうマルコ隊長にリーゼント折られてる』ってのも抜けてるぜ」
「テメェら!!」

ぎゃははは、と楽しそうに笑う船員達に顔を真っ赤にして怒るサッチさん。サッチさんは四番隊の隊長で、いつも笑ってて、優しくて、美味しいご飯やデザートを作ってくれます。人一倍家族想いで、いつも海に落ちた船員達を助けています。私がマルコさんに怒られた時とか、いつもサッチさんが助けてくれるんだけど、そのたびにサッチさんがマルコさんにリーゼントをへし折られてます。「お前ェはタミに甘すぎだ」ってマルコさんが言った時に、サッチさんが否定しなかったのが最近の嬉しい出来事だったりもします。自慢のお兄ちゃんです。

「サッチさん、サッチさん」
「んァ?」
「へへ……大好きです!」

あ、サッチさんが固まった。




さてさて、次はエース君を探そうと思います。船尾の方で見たって聞いたからそっちに向かうと、空樽が集められてる所にERRORを見付けた。あんなトコで何やってるんだろ?

ERRORー! エース君見なかった? 、て……」
「さっき寝ちゃった」

樽の間に二人分だけ空いている所があって、そこにエース君とERRORがすっぽり収まって座ってた。何この絵!可愛い……!
エース君はERRORの肩に頭を預けてすやすや眠ってる。珍しく鼾が聞こえない。
トレードマークのテンガロンハットはERRORの手の中にあって、ERRORはちょっぴり付いた埃を払いながらフーフーしてる。

えーと、まずはエース君の紹介から。
エース君は二番隊の隊長さんです。私より年下なのに凄く強いんです!いつも元気で、エース君が笑うとそこがすっごく明るくなる、太陽みたいな人です。メラメラの実の能力者で、食いしん坊で、食べてる最中にお皿に顔を突っ込んで眠るという特技も持っています。それから、ERRORの事が大好きです。

ERRORも私より年下の可愛い女の子です。髪は肩より短くて、活発な女の子って感じ。ERRORも凄く強いし、この船に乗る前はお母さんのリサと二人でレストランを開いてたそうです。家計担当だったらしくて、料理は苦手みたい。前にエース君に作ってあげたらしいんだけど、その時の事を聞くとサッチさんとマルコさんは青褪める。エース君は「また作ってくれよな!」ってERRORに言ってた。後から聞いた話だけど、ERRORの作ったご飯を食べた後、エース君は倒れて医務室に運ばれたんだって。

エース君はERRORが大好きで、ERRORは……うーん、どうだろう。エース君の好きなんだとは思うんだけど、この二人まだ付き合ってません。ERRORが待たせてるみたい。

「ねぇ、エース君とERRORはどうなってんの?」
「は? な、何言ってんの!?」

お顔が赤くなってます。やっぱりエース君の事好きみたいです。でも付き合ってない。見てる分には面白いから良いんだけどね、エース君が一人で右往左往してるのを見るのは実に愉快です。前に面と向かってエース君に言ったら酷い目に遭ったから、もう口には出しません。
エース君はERRORに告白した事があるらしいんだけど……確かリサとERRORがこの船に乗る事になった時だったかな?でも、その時の事は詳しく知りません。何回か尋ねたけど、マルコさんとリサとサッチさんは苦笑するだけだし、ERRORとエース君は照れ臭そうな顔で頬を掻くだけ。他の皆にも聞いたけど、皆も何か思い出すと恥ずかしいらしくて教えてくれない。
「だってよォ……」とか「リサちゃんがなぁ……」とかブツブツ呟いて、結局「あーもうダメ!俺思い出したくないっ!!」って叫んで両手に顔を埋めちゃう。うーん、気になります。

ERRORはエース君好き?」
「………え、そういう事聞くの? この状況で?」

少しだけ赤くなった顔でERRORがちらりとエース君を見る。エース君はしっかり寝入ってる……多分。

「そりゃ、好きだよ? 家族だし」
「ふむ、そうやって逃げてる訳か」
「い、良いでしょ別に! 今すぐ答え出さなきゃいけないって訳じゃないし! それに、これから先もずっと一緒にいるんだからさ、焦んなくてもいいかな、って」

おぉ、何やら大人な意見。きっとリサに言われたんだろうなぁ、なんて思って笑ったらERRORが不貞腐れたような顔で唇を尖らせた。くそぅ、可愛い子は何やっても可愛いなぁ。腹立たしい。

ERRORとエース君の子も可愛いだろうなぁ」
「なっ……何言ってんの!!?」
「あははッ! ERROR真っ赤!!」
「タミッ!!」

真っ赤な顔で叫んだERRORの声でエース君が眉を寄せてから目を開けた。

ERROR……? どうかしたか?」

ぼんやりとした顔で尋ねるエース君にERRORが「何でもないっ!」て慌てて答えてるのを背後に聞きながら、その場を後にした。
さーて、次は誰にしようかな!